星野村とベチバー
福岡県八女市星野村に、八女茶の伝統玉露を作り続けてきた古民家があります。
270年前のその当時のままに暮らす高木家。
茅葺きに杉の皮を葺いている屋根は日本古来の里の姿を残し、訪れる人々の心を和ませ、魅了しています。
ところが、2012年に九州北部豪雨が発生。
代々伝わる古木のお茶の木も流され、土地の土は変わり果て、農家にとって存続するのは困難なことが多く皆が途方にくれました。
当時、有限会社フローラ美工・専務だった弟の渡辺裕一朗は、学生の頃に居候していた高木家の役に立ちたいという想いから、その当時インドネシアから輸入されたベチバーで、両親が作る天然消臭剤の資材のハーブを植えます。
そのハーブが土壌流出を止めるために、海外や沖縄で役に立っていることを知ったのです。ハーブに詳しい専門家を探し、星野村へ招いて越冬という課題に取組み、翌春には見事クリアするに至りました。
そこから星野川の河川敷、休耕田、火山灰、砂地、海岸・・・植栽と観察を行い、実験が始まりました。
ベチバーに導かれて…
元々ベチバーは原産が南インドの常夏の地域に作られています。精油となり、有名ブランドの高級香水のベースノートにもなっている縁の下の力持ち的存在。類を見ない独特の希少な役割を果たしています。
私は当時、愛知県で3人の男の子の子育ての合間にセラピストとして、ハーブやバッチフワラーのコンサルテーションなどの植物療法の相談を実施していました。
度々、出張の折に愛知に立ち寄る弟に「八女に、蒸留水の責任者として帰って来て欲しい」という相談を持ちかけられていたのです。
その都度、身の回りの整理がつかずに悩んでいましたが、今考えるとその頃自分に起きたことは、まるで八女に帰るように仕向けられた脚本の一部だったような気がします。
結局、紆余曲折ありながら次男と三男を連れて八女へ戻る決心をします。そして長男と主人は愛知に残ることになったのです。
それから九大との研究が始まり、ベチバーの歴史、特徴、様々な民族文化としての在り方などを学び、専門家のお話しをお聞きし、ベチバー精油の最上級と言われるベチバーブルボンの蒸留を見にレ・ユニオン島に行ったり、マーケティングとしての可能性を調査するため香港を訪問するなど、色んな方々のお力添えを頂きながら、まだまだ未知のベチバーの情報収集と開発に勤しんでいます。大学や食品センターの研究結果を基に蒸留水を造り出し、その後3年間、試行錯誤の毎日となりました。
ブレンドの魔術師といわれるほどの「鎮静の香り」をもったハーブとして 、南インドの家庭医学で用いられる妙薬として、アーユルヴェーダの薬草として、インドのお寺の屋根を葺く資材として、王宮の涼をとる網戸や団扇として、モスリンと呼ばれる布を守る忌避剤として、野菜の防腐剤として、病中病後の滋養のお茶として。それに、肌のお手入れ、浄血や頭に良いと書物に残され、2500年前のお釈迦様の叙情詩にも記載がある、香草。
その香りを求める人は今も昔も数多く、特に国産の香りには、独特の土臭さが無く、芳しく品があり優しい仕上がりのため、多くの専門家やセラピストを驚かせ、魅了しています。
作り手と創る人を繋ぐ 国産ベチバーブランド 「SAnoSA」
現在、福岡県では自然農法を、2016年前から熊本県ではバイオダイナミック農法を、自社管理のもと行なっています。
植栽から収穫、水蒸気蒸留、充填までを一貫して管理し弟がネーミングした《里の作法》SAnoSAを引き継ぎ、作る手(生産者)と創る人(加工者)を繋ぐという意味を併せて「SAnoSA」ブランドとし、国産ベチバーを広く必要な方へ届けることに尽力する日々です。
異常気象、公害、災害、汚染されてゆくストレス社会で苦しむ人々にとって、自然のままのハーブウォーターという植物の力そのものを日常に取り入れることが、どれほど救いになるのかということを先人たちは知っていました。
私どもの薫風株式会社は、有限会社フローラ美工のベチバーそのものを活かした製品を皆さんにお届けしています。生命の知恵として、ホリスティックケアとして、安心な場作りをしながら、講座でお伝えするイドロラセラピーもその一つです。
これからの社会に役立ち、SDG‘s(接続可能な開発目標)の17の約束を果たしながら継続する未来づくりのツールとしてご提案しています。
人がベチバーや植物を通じて繋がり、「活きる力を取り戻しながら、生きている意味を知る・・・それが幸福感を味わう毎日」へとつながることが私がもっとも望むことです。
現在「ベチバーリトリート蒸留会」を催している星野村古民家の維持もその一つの課題です。
こちらの実現にも真摯に取り組んでいきたいという想いがあり、その進捗状況も含めて今、私達が出来ることを、里の風景とともにお届け出来たらと思っています。
ベチバーが、この星野村の高木家を選んで来てくれたように思えてならない、その理由などもまた追々お伝えしたいことの1つです。
日常的に、安心して気兼ねなく、どなたにもお役に立てるような製品づくりのお手伝い、ご提案。
ベチバーという稀にみる多様性と可能性を持つ植物との生活。
現在、インドやアメリカでグリーンテクノロジーとして研究されている植物の力を、必要な方へお届けしていきたい。地球環境問題への取組みにご賛同をいただき、自然との繫がりを一人一人が実感し、世界が共存する社会へと移行していくのが役目だと確信しています。
その日々の徒然を、これから過去を振り返りながらも温故知新として繋がるモノづくり、それにまつわる里からのメッセージをお伝え出来たらと思っている今日この頃です。
皆様はどうお感じになるでしょう。(2018年文筆)
片山恵理 のプロフィール
日立製作所を退職後結婚。夫の転勤にともない各地を点々とする中、3人の男児の出産をきっかけに植物療法を知る。植物療法に関する研鑚を積みながら、家族の健康維持、病気の予防について実践する日々を送る。
ハーブやバッチフラワーの研究と同時に、実家では並行してベチバーというアーユルヴェーダで使われる薬草のハーブを植栽し研究しており、国産の消臭アロマ製品化のアドバイザーとして2015年より関与。蒸留の責任者として八女に赴任し現在に至る。
現在、日本では福岡県の八女だけで蒸留しているベチバー。世界でも珍しい国産ベチバーを実際に見て、触れて、体感したいと各地から訪れる方々に向けて、見学ワークショップを開催している。
また、八女市星野村ではリトリート蒸留会を開き、良き日本の里山・自然空間を感じていただきながら、未病予防としてセルフケアのイドロラ、バッチフラワーを京都と福岡で講師としてお伝えしている。
アーユルヴェーダの薬草として、お釈迦様の経典にも記載されているベチバーを家族と親戚で土作りから蒸留、製品化。日常に簡単に取り入れられるハーブウォターを身体を調えるツールとして、幅広い業種、赤ちゃんからお年寄りまで禁忌なく毎日ご愛用頂けることを目指して活動を行なっている。
助産師さんのOEMなども製造、医療機関、ケアセンターへ納品し、自ら心身の健康に必要なモノを必要な方へお届している。
京都本社の薫風株式会社では、バッチ財団プラクティショナーとして植物療法を織り交ぜながら「清々しく生きるヒント」をお伝えする会として、また、高島屋、阪神、三越などの百貨店を初め東京アースデイやSDG’Sに深い理解を持ち、実践する企業としてもバッチフラワーレメディWS・「ベチバーの繋がるWS」各地で開催中。
薫風株式会社 代表取締役
有限会社フローラ美工 代表取締役
薫風株式会社 lit.link(リットリンク)
https://lit.link/kumpu7737
BIEP バッチ国際教育プログラムレベル1
元・PTTコース認定講師(福岡県・京都府)
(英)BFRP バッチ財団登録プラクティショナー
JAMHA メディカルハーブセラピスト
アロマフランス認定 イドロラセラピスト
NPO法人日本ホリスティック医学協会専門会
ホリスティックヘルス塾インストラクター
NARD アロマアドバイザー
日本アーユルヴェーダ学会認定資格
アーユルヴェーダ・ヘルスケアアドバイザー
八女市星野村古民家くらし研究会 https://hoshino-reborn.com/
Sa no Sa→ http://sanosa-japan